
2025/05/30
【5回で学ぶフェルミ推定】第2回:コンサル内定者と学ぶ「最適なアプローチの選択方法」
コンサル志望者にとって避けて通れないのがフェルミ推定。限られた情報から合理的な近似値を導き出すこの思考法は、マッキンゼーやBCG、ベインといったトップティアのファームを目指す学生にとって重要なスキルです。
今回紹介するのは、MBB内定者の「マチコさん」と27卒の就活生「ケイコさん」が一緒にフェルミ推定を学ぶ、全5回のYouTube学習シリーズの第2回「最適なアプローチの選択方法」です。
最適なアプローチ(供給 vs 需要)の選び方
就職活動のケース面接対策などでよく耳にする「フェルミ推定」。未知の数値を論理的に概算するスキルですが、その最初のステップである「どうやって計算式を立てるか?」で悩む方は多いのではないでしょうか。
実は、フェルミ推定の目的は「知りたい数値をできるだけ正確に推定すること」「どの切り口で立式を立てるか」が非常に重要になります1。今回は、この最適な切り口(アプローチ)の選び方について、具体的な例を交えながら掘り下げていきます。
フェルミ推定の基本的な流れをおさらい:フェルミ推定は、一般的に以下の4つのステップで進めると良いとされています。
1.問題のスコープを定義する。
2.数式モデルに落とし込む(因数分解する)。
3.セグメントで分解する。
4.最後に値を求める。
今回注目するのは、この中の2番目、「数式モデルに落とし込む」の部分。ここでどのような数式を立てるかが、その後の推定の精度を大きく左右するのです。そして、数式を立てる上での主要なアプローチが、次に解説する「供給サイド」と「需要サイド」の考え方です。
2つの主要なアプローチ:供給サイドと需要サイド
知りたい数値を推定するための立式方法は複数考えられますが、大きく分けて以下の2つの視点があります。

1. 需要サイド(Demand-based)アプローチとは?
需要側から推定する方法では、「誰が、どれくらいの頻度で、いくら使っているか」という構造で考えます。
数式構造の例:
市場規模 = 対象人口 × 利用率 × 利用頻度 × 単価
適しているケース:
- B2C型のサービス(例:飲食、アパレル、サブスクリプション)
- 消費者の行動が比較的予測しやすい
- 人口や頻度などの仮定が立てやすい
メリット:
- 発想しやすく、就活生にも馴染みやすい
- 多くのケース面接問題で使える汎用性が高い
2. 供給サイド(Supply-based)アプローチとは?
供給側からの推定では、「どれくらいの供給単位(例:店舗、機械)があり、それぞれがどれくらい売上を上げているか」で構造化します。
数式構造の例:
市場規模 = 供給単位数 × 単位あたり売上
適しているケース:
- 店舗、機器、稼働時間など供給能力が上限となる業態(例:自動販売機、物流、設備産業)
- 実店舗や販売チャネルが中心となるビジネス
- 人口ではなく物理的キャパが市場を制約している場合
メリット:
- ビジネス構造の上限を意識できる
- 大手チェーンや設備産業において実態に近い推定が可能
実践:フィットネスクラブの市場規模推定
今回のテーマは「フィットネスクラブの市場規模推定を推定せよ」。
27卒就活生のケイコさんは次のような前提を立てて推論を開始します。
市場規模 = 人口 × フィットネスクラブに入る割合 × 月額 × 12ヶ月
そして、それぞれの具体的な数値を以下のように仮定しました。
▪️人口:1.2億人
▪️フィットネスクラブに入る割合:10%
▪️月額:5000円
これらの数値を掛け合わせることで、市場規模を「1.2億 × 10% × 5000円 × 12ヶ月 = 7200億円」と推定しました。
ケイコさんの因数分解は分かりやすいと評価されつつも、この前提に対する振り返りが行われました1。ケイコさん自身は、今回の推定対象である「フィットネスクラブ」に、ヨガやピラティスなどが含まれるのか、どのような形態のクラブを想定するのかなど、「アンプション(前提)」の解像度をもう少し高められたら良かったと感じたようです。
