2025/03/27
目次
1. フェルミ推定とは?初心者でもわかる基礎知識
1-1. フェルミ推定の目的とは?なぜ重要なのか
1-2. ケース面接や就活でフェルミ推定がよく出題される理由
1-3. フェルミ推定の代表的な思考プロセス
2. フェルミ推定の解き方|基本ステップとポイント
2-1. 前提の確認|推定するものの定義を確認する
2-2. まずは要素に分ける|「大きな数字」から「具体的な要素」へ
2-3. 切り口を精緻化する|要素をさらに精緻化することで正しい数字を導く
2-4. 計算する|素早く概算するテクニック
2-5. 回答をまとめる|論理的に説明しやすい構成を意識する
3. フェルミ推定の例題&回答解説|実践トレーニング
3-1. 【例題1】テレビの市場規模
3-2. 【例題2】日本で飼われている犬の頭数
フェルミ推定は、複雑な問題に対して大まかな数値を論理的に導くための手法です。イタリアの物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられたこの推定法は、正確なデータが手元にない場合でも、合理的な仮定を基に概算することができるため、ケース面接や就活、さらには実務における意思決定の場面で重宝されます。ここでは、初心者でも理解できるよう、フェルミ推定の目的や重要性、そして基本的な思考プロセスについて解説します。
フェルミ推定の主な目的は、限られた情報や不完全なデータから、合理的な数値を導き出すことにあります。
日常生活でも「この町には何台の車があるか?」、「1年に何本のペンが売れているか?」といった大まかな推定を行う場面は多く、正確な数字がなくても概算できる力は、ビジネスの場面で非常に重要です。特にコンサルティングの分野では、クライアントの市場規模や事業機会を短時間で把握するために、フェルミ推定のスキルが求められます。
また、フェルミ推定は、複雑な問題をシンプルな要素に分解し、論理的に考える力を鍛える点でも評価されます。計算自体はあくまで概算であり、正確性よりも「どうやって数値を導いたか」というプロセスが重視されるため、受験者の論理的思考力や思考体力、そして柔軟な発想が問われるのです。
ケース面接では、受験者の論理的な思考プロセスや問題解決能力が重視されます。フェルミ推定は、与えられた情報から数値を論理的に組み立て、合理的な結論に導くための手法として、企業側が求める能力を測る絶好のツールとなっています。就活においても、実際の業務では限られた情報の中で迅速な意思決定が求められるため、この能力は高く評価されます。
なお、数字が近ければ近いほど通過するというわけではなく、思考プロセスが見られていることも留意しておく必要があります。もちろん、あまりにも大きすぎる数字や、小さすぎる数字を提示すればビジネス感度が低いと判断されることもありますが、面接官が思考プロセスに納得がいけば通過することが多いです。
フェルミ推定の基本的なプロセスは、以下の3つのステップに大別されます。
- 分解: 問題全体を、より小さな要素や構成要素に分解します。例えば、ある商品の市場規模を推定する場合、「対象となる人口」「購入率」「購入個数」などに分けることが考えられます。
- 仮定: 各要素に対して合理的な仮定を置きます。これには、過去のデータや一般的な知識、あるいは統計的な平均値などを参考にすることが多いです。仮定はあくまで近似値ですが、あまりにも現実的でない数字をおくと質問されることもあります。
- 計算: 分解した要素と仮定を組み合わせ、最終的な概算を行います。計算過程では、四捨五入や概算を適宜用い、迅速かつシンプルに数値を導き出すことが求められます。
この一連のプロセスにより、正確な数値ではなくても合理的な概算を得ることが可能となり、その過程自体が評価対象となるのです。
フェルミ推定の解法は、論理の組み立て方と情報の整理に重点が置かれます。ここでは、基本ステップごとに解き方のポイントを詳しく解説します。
まず最初に、推定する対象が何であるかを明確にします。対象の定義が曖昧であれば、導き出される数字にも大きな誤差が生じてしまいます。たとえば、「テレビの市場規模」を推定する場合、「テレビの定義」「対象期間」などを明確にすることが必要です。前提条件を正確に把握することで、後の分解や仮定の精度が向上します。
次に、対象となるものをいくつかの要素に分解します。一般的なアプローチとしては、全体をより具体的な要素に落とし込みます。具体例として「数」×「単価」などに置き換え、さらに「数」を「人口」×「所有率」×「所有個数」に分けるなど、お題に沿った分解をしていきます。
たとえば、テレビの市場規模であれば、「総世帯数」×「テレビ保有率」×「人世帯あたりのテレビ保有台数」×「1台あたりの平均価格」÷「耐用年数」といった具合に、要素ごとに分解していきます。
基本的な要素に分解した後は、さらにその要素を精緻化していきます。たとえば、国全体の世帯数という大まかな数字を、その中で年齢や性別、地域ごとに分けることが考えられます。こうした切り口の違いにより、より正確な仮定が可能となり、結果として導き出される数値の精度が向上します。精緻な切り口は、全体像を大まかに捉えた後のブラッシュアップとして重要です。
フェルミ推定では、膨大な情報をすばやく計算するための概算技術が求められます。重要なのは、計算過程での論理的な整合性と、仮定に基づく計算結果が妥当であるかを示すことです。こうした計算の過程を明確に説明することが、評価のポイントとなります。数字が答えに近いかどうかはそれほど気にする必要はないと言えます。
最終的な回答は、これまでの分解、仮定、計算のプロセスを踏まえて、シンプルかつ論理的にまとめる必要があります。面接官に対しては、どのように数値を導いたのか、その過程を明確に説明することが求められます。回答は単に数字を示すだけでなく、なぜその数字に至ったのか、仮定や計算の根拠を具体的に伝えることが大切です。論理展開の一貫性を保ち、聞き手に納得感を与える説明が、最終的な評価につながります。
ここでは、フェルミ推定の基本ステップに沿った具体的な例題を通して、実践的な解き方とその考え方のプロセスを解説します。実際に手を動かしながら学ぶことで、理論だけでなく実践的なスキルも身につけることができます。
ここで紹介する解答はあくまで例です。フェルミ推定は単一の正解があるものではなく、様々な導き出し方があります。
解答例&考え方のプロセス:
1. 前提確認:
・対象地域:日本
・対象:家庭用テレビ(単なるデスクトップはのぞく)
・期間:1年間の市場規模
2. 要素に分解:
・日本の総世帯数(5000万世帯)
・テレビ保有率(家族世帯→95%保有、単身,2人世帯→85%保有と想定して平均の約90%と仮定)
・テレビ保有個数(基本的には1台と仮定)
・1台あたりの平均価格(高いテレビだと15万、安いものだと5万なので、平均して10万と算出)
・耐用年数(よく壊れるものではないので、10年に一回買い替えると想定)
3. 計算:
→ 市場規模 = 総世帯数 × 保有率 × 保有個数 × 平均価格 ÷ 耐用年数
→ 5000万 × 90% × 1台 × 100,000円 ÷ 10 = 約4500億円