2025/06/23
野村総合研究所(NRI)は、就活生の間で「外資とは違う日系トップファーム」として圧倒的な存在感を誇ります。戦略からITまでを網羅する独自の強みや、官民にまたがる影響力の大きさなど、その魅力は一言では語れません。本記事では、そんなNRIの全体像と選考情報を詳しく解説します。
NRIは1965年、野村證券の調査部門を母体として設立された企業で、日本における民間シンクタンクの先駆けです。創業当初から、官公庁向けの政策提言やマクロ経済の調査・研究などを担ってきました。日本経済の高度成長を背景に、政府と民間の中間に位置する「知のインフラ」として、NRIは着実に存在感を高めていきます。
現在のNRIは、以下の2つの領域を主軸に事業を展開しています。
🔹コンサルティング事業
経営戦略立案、業務改革、組織変革、DX支援などを中心とする部門で、公共政策の策定支援など官公庁向けの案件も多数。金融・流通・社会インフラといった分野での実績が豊富で、日本を代表する大企業や中央省庁との継続的な取引を通じて、高度で実行可能性の高い提案を行っています。
🔹ITソリューション事業
主に金融業界を中心に、基幹系システムの設計・構築・運用までを一気通貫で担う部門です。証券・銀行・保険業界においては、NRIのシステムが市場の根幹を支えていると言っても過言ではありません。特に日本の証券取引インフラには深く関与しており、その安定性と信頼性は非常に高く評価されています。
NRI最大の特徴は、戦略コンサルティングからIT実装までを自社で担う“ハイブリッド型モデル”にあります。外資系コンサルが戦略立案に特化し、SIerが開発・運用を担当する分業体制を取るのに対し、NRIでは1つの企業体の中で構想と実行の両輪が密接に連携しています。
この体制により、提案が「机上の空論」に終わることなく、クライアントの現場に落とし込まれる実効性の高い支援が可能となります。さらに、両部門間で人材の異動や協業もあり、単一の職種に閉じない多様なキャリアパスが描ける点も、NRIを志望する学生にとって魅力的です。
NRIのもう一つの大きな特徴は、政府や日本を代表する大企業との継続的かつ深いネットワークです。財務省・経産省など中央官庁との政策協議や調査業務、野村證券・三井住友銀行・大手通信会社・商社などとの経営改革支援は、長年にわたって築かれてきた信頼の上に成り立っています。これにより、プロジェクトの初期構想段階から関与できることが多く、単なる下請け的立場ではなく、「対等なパートナー」としての支援が求められます。就活生から見ると、“日本社会の中枢に関われる”というやりがいが、大きな魅力として映るのです。
NRIは、毎年外資系戦略コンサルや総合商社と並び、難関志望層の学生からの人気を集めています。その理由は単なる「日系大手だから」「高収入だから」といった表層的な魅力にとどまりません。むしろ、多様なキャリア志向に応えうる柔軟な事業構造と、育成重視の働き方、そして社会貢献性の高い仕事が、学生から本質的な支持を受ける背景となっています。
NRIは、戦略コンサル・政策シンクタンク・ITソリューション企業という三重の性格を併せ持つ稀有な企業です。そのため、下記のように、異なるタイプの就活生がそれぞれの価値観に基づいて惹きつけられています。
📝このように、「NRIに入れば○○ができる」という多層的な納得感が、学生からのエントリー数を押し上げています。
NRIの社員は「ロジカルで落ち着いた人が多い」と語られることが多く、面接や座談会を通じて感じる社風の安心感も人気の一因です。特に特徴的なのは、地頭の良さと人あたりの良さを兼ね備えた“知的な協調型人材”が多いこと。体育会系的なパワフルさや自己主張の強さよりも、チームで深く考え、冷静に対話する文化が根づいています。
📌こうした社風は、選考時にもよく見られ、面接でも「対話を通じて深く掘り下げられる」といった声が多く聞かれます。これは、初めての就活で企業文化に敏感な学生にとって、大きな安心材料となっています。
NRIは、プロジェクト単位で業務を進めるスタイルのため、若手でも比較的早い段階から責任ある役割を担うことが可能です。とはいえ、“放任主義”ではなく、OJTや社内ナレッジの整備を通じて、段階的に成長できる設計がなされており、外資のように即戦力を求めて人を潰す文化とは一線を画します。また、一定年次でのジョブローテーションや部門間の異動制度、専門性を深めたい人のための社内研修制度など、多様なキャリア志向に対応できる支援体制が整っていることも高く評価されています。
民間企業の経営改革支援だけでなく、官公庁や自治体との政策検討や社会制度設計にも関わるNRIの業務は、“社会を変える仕事”を志向する学生に強く響きます。たとえば、医療制度改革、金融インフラ再構築、災害時の行政支援体制の検討など、公共性・社会性の高いテーマを扱う機会が豊富です。
特に近年は、地方創生やサステナビリティ、デジタルガバメント分野など、より直接的に社会課題と向き合う案件が増えており、「自分の仕事が誰かの役に立っている」という実感を求める学生にとって、大きな魅力となっています。
このように、NRIは“スペックが高い”というだけでなく、志向・性格・将来像にフィットする納得感のある企業として、多くの就活生に支持されています。就活後半で「外資よりも自分に合っている」として第一志望に据える学生が多いのも、その柔軟性と文化的魅力ゆえです。
NRIでは、夏・秋を中心にインターンが開催される一方で、インターン経由での早期選考ルートと、本選考ルートが並行して存在します。「インターンに出ないと不利になるのか?」「むしろ本選考一本に絞った方が効率的では?」といった声も多く聞かれますが、実際には自分のタイプや志望度によってどちらを選ぶべきかが変わるのが実情です。
NRIのインターンは、コンサルティング業務の擬似体験やグループワークを通じて、実際の仕事の進め方・思考の深さ・チームの雰囲気を実感できる貴重な機会です。ケース形式の課題やアウトプット発表も含まれるため、実質的な選考対策としても非常に有効です。また、インターンでは現場社員との接点も多く、「NRIの社風が自分に合うか」「どの領域に関心があるか」を体感的に掴める点も大きなメリットです。特に戦略コンサルや外資系とも併願を考えている学生にとって、NRI独自の文化や働き方を肌で知る意味は非常に大きいと言えるでしょう。
インターンに参加した学生の一部には、そのまま早期選考に呼ばれるケースもあります(年によって運用は異なりますが、夏インターン→秋~冬の早期選考は比較的定番化)。早期選考は参加者数が絞られる分、倍率がやや下がる傾向にあるとされ、インターン経由の方が内定に近づく可能性が高いという声もあります。ただし、インターンからの内定は「即決」ではなく、別途本選考に近いプロセスを経る必要があるため、準備を怠ると逆に失速するリスクもあります。
✅ 本選考からの逆転も十分に可能
一方で、インターンに出ていない学生でも本選考から内定を得る例は数多くあります。実際に「外資の対策に集中していてNRIのインターンには出られなかったが、2月の本選考から逆転した」というケースも少なくありません。NRIの本選考では、ES・Webテスト・人物面接など、しっかりと学生個人を見極める構成になっており、「インターン組だから優遇」「インターン未経験だから不利」という単純な評価はなされません。特に論理的思考力や志望動機の一貫性が評価されるため、限られた時間での集中対策でもチャンスは十分あると言えます。
✅ 志望度が高いなら、まずはインターン参加が理想
結論として、NRIに対して明確な志望度がある場合は、なるべく早期からインターンに参加することを推奨します。企業理解と接点形成、そして早期選考のチャンス獲得という3点でメリットが大きいためです。一方で、「インターンには出られなかった」「当時は他社志望だったが、今は本気でNRIを目指したい」という人でも、本選考から十分に挽回できる構造になっているため、焦る必要はありません。
NRIではここ数年、新卒採用数を大幅に増やしており、2024年度にはついに年間500名を超える規模に達しました。かつては限られた枠の“エリート集団”というイメージもありましたが、現在では採用対象の幅が広がり、地頭の良さや論理的思考力があれば、学部・大学を問わず十分に内定が狙える企業になっています。
2020年度には308名だった新卒採用数が、2021年には393名、2022年には399名、そして2023年には466名に。直近の2024年度では504名と、わずか4年で約200名以上の増員を記録しています。採用枠の増加は、NRIが今まさに成長フェーズにあることを示しており、それに応じて多様な人材が必要とされている状況です。
NRIの新卒採用は、大きく「コンサルティング事業本部」と「ITソリューション事業本部」の2部門に分かれています。いずれも大量採用を行っていますが、採用対象や求められる素養には明確な違いがあります。
文理問わず採用されますが、特に地頭の良さ・論理展開力・社会課題への関心などが重視される傾向にあります。文系出身者の比率も比較的高く、早慶・旧帝大を中心とした層からの応募が目立ちます。
採用者の多くは理系出身者、特に大学院卒が中心です。情報工学・数理・統計などを専門とする学生が多く、東京工業大学や筑波大学、東北大学といった理系総合大学の存在感も大きくなっています。実装力だけでなく、システム構想段階から関与する上流工程志向の人材が求められている点が特徴です。
このように、部門によって必要とされる適性やバックグラウンドに違いがあるため、エントリー時点での明確な志向と自己理解が内定へのカギとなります。
NRIは応募者数が非常に多く、全体では5,000〜6,000人程度と推定されます。その中で約500名が採用されるため、倍率はおおよそ10〜15倍前後と考えられます。ただし、他社に比べて極端な「学歴フィルター」は少なく、ES・Webテスト・複数回の面接を通じて総合的に評価される仕組みになっています。特に面接では、単なる受け答えの正確さではなく、「なぜNRIか」「どんな価値を提供できるか」といった本人の視座の高さが問われます。
NRIは今後も500名規模の新卒採用を継続していく方針を打ち出しており、採用の裾野はさらに広がっていくと見られます。特にコンサルティング部門では、公共政策・サステナビリティ・DXなど新領域に対応できる人材、ITソリューション部門ではAI・セキュリティ・クラウド領域の先端技術に精通した人材が求められています。文理を問わず、自らの志向や強みを適切に伝えられる学生にとっては、過去以上に“受かりやすく、成長できる企業になりつつあるといえるでしょう。
NRIの新卒採用では、毎年難関大学を中心に、幅広い出身大学から内定者が輩出されています。特にここ数年は採用人数の増加に伴い、多様なバックグラウンドを持つ学生に門戸が開かれる傾向が強まっています。
2024年度の実績を見ると、慶應義塾大学からは約70名、早稲田大学からは約60名が内定。東京大学(約32名)、京都大学(約23名)、東京工業大学(約20名)、大阪大学、東北大学、北海道大学などの旧帝大や、東京理科大学・筑波大学などの理系総合大学も多数内定しています。
📌これら上位大学群だけで、全体の約40%近くを占めています。
上位大学の存在感が大きい一方で、中央大学、明治大学、同志社大学、関西学院大学、上智大学、立命館大学などの中堅私大、あるいは新潟大学、静岡大学、広島大学、熊本大学といった地方国公立大学からも毎年内定者が出ており、必ずしも一部の学歴層に限定されているわけではありません。
特にITソリューション職では、情報工学・統計学・数学などを専攻する理系の大学院生が多数採用されています。NRIは上流工程からシステムを構想・設計する立場を取るため、理論・技術両面での深い素養を持つ人材を積極的に登用しています。これは、コンサル部門以上に「学問的な専門性」が問われる側面とも言えるでしょう。
NRIは一貫して「学歴だけでは見ない」というスタンスを取っており、実際の選考ではES・Webテスト・面接を通じた総合評価が行われます。思考の構造化力、問題意識の深さ、企業との親和性などが重視されるため、学歴だけで落とされるということは基本的にありません。とはいえ、結果として地頭が強く、NRIのカルチャーにフィットしやすい上位層の大学に内定者が多くなる傾向はあります。
・内定者の中心は早慶・旧帝大・東工大などの上位校
・中堅・地方大学からも複数内定あり
・理系(特に院卒)はITソリューション部門で多数活躍
・評価基準は「思考力」「企業との相性」。学歴だけでは決まらない
NRIの内定者に難関大学出身者が多いことは事実ですが、選考においては「学歴だけ」で評価されているわけではありません。実際に中堅私大や地方国公立大学からの内定者も多数存在しており、選考過程で問われるのは個々の思考力や志向性、価値観の深さです。この章では、NRIが学歴以外に重視しているポイントを具体的に紹介します。
NRIの選考全体を通じて一貫して問われるのが、「情報を整理し、論理的に筋道立てて説明する力」です。ESでは複数の質問項目に対して要点を明快に伝える力が求められ、面接では抽象的な問いに対しても落ち着いて思考し、構造的に説明できるかが見られます。特にケース面接が少ないNRIにおいては、「普段の言語運用のなかで論理性が出ているか」が重要であり、学歴に依存しない地頭と伝達力のバランスが評価の対象となります。
テンプレ的な回答や“就活用に整えられた”志望動機では、NRIの面接官は納得しません。「なぜNRIなのか?」「なぜ自分はコンサルに関わりたいのか?」といった問いに対して、自分の経験や価値観とつなげて語る姿勢が強く評価されます。たとえば、過去の研究や課外活動で直面した課題を起点に、NRIでどのように社会課題に向き合いたいのかを論理的に展開できると、評価は一気に高まります。
NRIでは、ビジネスだけでなく公共政策や社会インフラにも関与するため、「目の前の課題の奥にある構造的要因を捉える力」や、「社会全体の中で自分の仕事をどう位置づけるか」という視座の高さが非常に重要とされています。実際、最終面接では「なぜその社会課題に関心があるのか」「NRIでそれをどう実現したいのか」といったテーマでかなり深掘りされることが多く、表面的な理解では通過が難しいとされます。
人物面接では、論理力や志向性だけでなく、NRIのカルチャーに馴染めるかどうかも重要な評価ポイントとなります。NRIは「ロジカルでありつつ穏やかで協調的な人が多い」と言われる社風が特徴で、選考でも「人当たりの良さ」「対話姿勢」「謙虚さと自信のバランス」が重視されます。論理性をアピールしようとして押しの強い話し方や過度な自己主張をしてしまうと、評価が下がるケースもあるため注意が必要です。
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)では、単なる成果よりも、課題にどう向き合い、何を学び、どう変化したかが重視されます。たとえば、部活動や研究、インターンで壁にぶつかった経験を、いかに仮説を立て、周囲と協働し、乗り越えたかという「思考と行動のプロセス」が見られています。エピソードの内容そのものよりも、「考え方の筋」が通っているかが評価の分かれ目になります。
このように、NRIの選考では、自分の頭で考える力・言葉にする力・周囲と協調する力が何よりも重視されます。学歴はあくまで“参考情報”にすぎず、本選考では**「深く考えてきたか」「自分の言葉で語れるか」**が勝負になります。
NRIのコンサルティング事業本部は、民間企業の経営戦略・業務改革支援に加えて、官公庁や地方自治体向けの政策立案・制度設計支援も担う、いわば「民間×公共」の総合型コンサルティング部門です。競合となるのは以下のような企業群です。
これらと比べた際、NRIの選考はケース面接よりも人物面接中心であり、特に「なぜNRIか」「どんな社会課題に取り組みたいか」といった志向性に対する深い問いかけが行われます。MBBのようなフェルミ推定・ケース面接的な選考はないものの、代わりに思考の深さ・一貫性・構造化力が求められ、決して“簡単”とは言えません。
特に評価されるのは、以下のような能力です:
また、NRIは「圧迫感のない、穏やかな深掘り」で知られますが、それゆえに逆に中身のない志望動機や論理の粗さはすぐに見抜かれやすいという特徴があります。総じて、MBBよりは負荷が少ないとはいえ、国内ファーム・日系シンクタンクのなかでは最難関レベルの選考設計であると言えるでしょう。
NRIのITソリューション事業本部では、主に金融業界(証券・銀行・保険など)を中心とした大規模システムの企画・構築・運用を担っています。表面的には、NTTデータや富士通、日立製作所、NEC、SCSKといったSIerと同じく「IT企業」のように見えますが、実際の業務内容と採用基準には明確な違いがあります。NRIのIT部門が他と異なる最大の点は、要件定義や構想策定など“超上流工程”からプロジェクトに関わることが前提になっている点です。つまり、単にプログラムを書く、開発するのではなく、「この業務をどう設計し、どうシステム化すべきか?」というビジネス構造を理解した上で技術に落とし込むことが求められるのです。
そのため、競合にあたる企業もSIerに加え、以下のようなITコンサル企業が含まれます:
NRIでは、技術力に加えて論理性・構想力・対話力が問われるため、情報・数学・統計系の大学院生を中心とした、高度専門性を持つ人材が多く採用されている傾向があります。また、面接では「なぜITではなくNRIなのか」「社会課題をどう技術で解決したいか」といった、ビジネスコンサル的な問いも頻繁に出されます。
単なるエンジニア職とは異なる、“技術+構想”のハイブリッド人材としての資質が求められるため、難易度としてはSIerよりも一段階上の設計です。
NRIの特徴は、どの部門においても「地頭」や「論理力」といった要素が、ケース面接や筆記試験ではなく、“対話”を通じて見極められる点にあります。質問の仕方は穏やかですが、掘り下げは深く、「なぜ?」を何層にもわたって重ねてきます。
外資のような高速処理型の難しさはありませんが、むしろ準備不足・自己理解の浅さは即見抜かれるため、選考通過のためには“時間をかけて考え抜いた人”が最終的に勝ち残る傾向があります。
また、特定の専門知識や資格よりも、「課題をどう定義し、どう解決したいか」という構想力・ビジョンが重視されるため、単にガクチカやスキルを羅列するだけでは不十分です。内面の思考の質そのものが、選考の合否を分ける──そんな企業がNRIです。
NRIの新卒採用は年々規模を拡大しており、表面上は「間口が広い」と捉えられがちです。しかし、実際には各部門ごとに異なる基準でふるいにかけられ、最終的に内定を勝ち取るには、志望動機の精緻さや思考の深さが強く問われます。以下では、経営コンサル部門とITソリューション部門に分けて、その難しさの実態を整理します。
コンサルティング事業本部の採用枠は、全体の中でも比較的少数に限られており、推定100~150名前後とされています。一方で、NRIを志望する学生の中でもこの部門に応募する層は非常に優秀で、全体の母集団(年間5,000〜6,000名)からすると倍率30倍以上の狭き門になることも珍しくありません。この部門で最も重視されるのは、「どれだけ深く自分の言葉で語れるか」という点です。知識や経歴の表面だけでは通過できず、なぜNRIを選ぶのか、そこで何を実現したいのかといった構想の一貫性と深度が見られます。また、NRIの選考はテンプレ的な回答では通用せず、思考の骨組みや社会への視座を問う「静かな深掘り」が特徴的です。面接官は一貫して穏やかですが、内容が浅いとすぐに本質を突く質問が飛んできて、そのまま評価が落ちるということも珍しくありません。さらに、「優秀だがNRIには合わない」と判断されることもあるため、単に頭の良さや課外活動の実績だけでなく、組織との親和性を含めた“総合的なマッチ度”が求められる選考であることも難易度を押し上げる一因となっています。
ITソリューション事業本部は、全体の採用人数の中でもっとも大きな枠を持つ部門です。たとえば2024年度では500名以上の採用のうち、実に300〜350名程度がこの部門の採用と見られています。一見すると“採用されやすそう”な印象を受けますが、実際には情報・数理・統計などの高度専門性を持つ学生が多く集まっており、倍率は15〜20倍程度と推定されます。特に、大学院修了者や研究テーマを実社会に応用できる形で語れる学生が厚く採用されており、単なる“理系だから”では通用しません。この部門で評価されるのは、「実装スキル」よりも「上流構想力」です。金融業界を中心とする業務理解、複雑なシステム設計における抽象的思考、そして技術を社会価値に結びつける発想力が問われます。また、就活対策本では拾えない「なぜNRIでなければならないのか」「社会をどう変えたいのか」といった問いへの準備ができていないと、たとえ技術的に優れていても内定には至りません。この点で、一般的なSIer志望の選考とは一線を画す厳しさがあるといえるでしょう。
NRIの選考全体に共通するのは、受験者の“素の思考”が見られているということです。準備されたテンプレートや、ガクチカ・志望動機の「形の良さ」では評価されず、むしろ自分なりの価値観や問題意識を、自分の言葉で構造的に語れるかが評価の分かれ目となります。そしてもうひとつの特徴は、受験者層の完成度の高さそのものがハードルを引き上げていることです。コンサル部門では社会課題へのまなざしや言語化力のある学生、IT部門では技術とビジネスをつなぐ構想力を持つ学生が集まりやすく、結果として選考の「見えないハードル」は非常に高くなっています。倍率という数字では測りきれない、「本当にNRIで働きたいと考えてきたかどうか」が問われる選考――それが、NRIの難易度の本質です。
NRIのインターン選考では、ES(エントリーシート)が最初の足切りポイントとなります。設問はわずか2問・各400字とシンプルですが、NRIが重視する「論理性」「構造性」「言語化力」を短文で示さなければならないという点で難易度は高めです。選考通過率は概ね4〜5割程度とされますが、「とりあえず出す」層が脱落し、準備した層のみが勝負ラインに立てる構造になっています。
この設問は、単なる志望動機ではなく“社会課題と自分の視座”を重ねられるかを見ています。よくある「成長したいから」「就活のために参加したい」などの動機は、明確な減点対象になる傾向があります。
求められるのは次の3点です:
たとえば、「地域医療の情報格差を是正する政策提言に関心がある → NRIが厚労省と行った〇〇政策調査に惹かれた」という形で、企業のアウトプットと自分の問題意識を“地続き”で語れると非常に強いです。
この設問の目的は、「抽象的な問いに対して、自分の言葉で構造化しながら答える力」を見ることです。
選考官は、例えそのものの面白さではなく、“なぜその例えが自分を表しているのか”という論理の精度を評価しています。
例として:
といった構成が好まれます。発想のユニークさ×一貫した論理構成のバランスが、合否を左右します。
なお、「正解」がある設問ではありませんが、例えの深堀りが甘い・抽象と具体のバランスが悪いと落選しやすい傾向にあります。
NRIのESは、ボリュームこそ400字と控えめですが、内容的には社会課題に向き合う姿勢、自分なりの問題意識、それをNRIでどう展開したいかを論理的に語る力が問われます。
自分という素材を、「NRIというフィールドにふさわしいかどうか」の視点で見つめ直す必要があるため、ただ“良いES”を目指すのではなく、“NRIに伝わるES”を作ることが通過への近道です。
NRIのWebテストは、エントリーシート通過後の最初の実力審査です。形式は多くの就活生にとって馴染みのあるSPIですが、通過ラインが非常に高く、事前対策なしでは突破が難しいため注意が必要です。
NRIが導入しているのは、リクルート社が提供するSPI形式(Webテスティング)です。構成は以下の通り:
形式自体は一般的ですが、他社と比べて難易度が1段高い“足切りライン”に設定されているのが特徴です。SPI自体に苦手意識がない学生でも、油断して無対策で挑むとあっさり落とされるケースが目立ちます。
ESと同様、NRIのWebテストも「倍率の1段階目を下げるフィルター」として機能しています。特に理系・院生・MARCH以上の層が受験母体の中心となるため、一定以上の学力がある者同士での戦いになります。
そのため、SPIのような基礎的問題であっても、
といった“取りこぼしのない正確さ”が強く求められます。
SPIの内容自体は市販問題集で十分にカバーできますが、NRIの場合は単なる解法暗記ではなく、**制限時間内で正確に解き切る“処理能力”**が問われます。
対策としては以下が有効です:
特に非言語分野では「焦って捨て問を見誤る」ことが大きな落因となるため、時間管理と見切りの判断訓練も重要です。
SPIの性格検査部分も足切りに使われていると見られており、「自信がない」「ストレス耐性が低い」と出ると不利になる可能性があります。
あくまで自分らしく、しかし「社会人としてやっていけそうか」という視点を持ったバランスある回答が好まれます。
NRIのWebテストは一見馴染みある形式ですが、受験層のレベルと通過基準が非常に高いため、**“準備不足で落ちるリスクが最も高い関門”**といえます。
SPI対策を軽視せず、スピード・精度・安定感を高めた状態で本番に臨むことが、次の面接フェーズに進むための絶対条件です。
ES・Webテストを突破すると、一次面接・二次面接/GDが実施されます。ESやWebテストを突破した学生が対象となるため、いずれのステージも一定以上の地頭や表現力を備えた優秀層が集まる点が特徴です。とりわけNRIの面接は、戦略コンサルや総合コンサルのような「ケース面接中心型」とは異なり、ESの設問内容や自己理解に根ざした深掘り型の面接で構成されています。これは一次・二次共通で、論理的思考力と抽象的な対話の質を見抜く設計となっています。
一次面接は学生2~3人の集団面接形式で行われ、主にエントリーシートに記載した「NRIを志望する理由」「自分をモノに例えると?」といった設問を起点に、1人ひとりの回答をじっくり深掘りされます。
特に評価されるポイントは以下の通りです:
例えば、「なぜそのモノを選んだの?」「別のモノでも同じ特徴を持つけど、何が違うの?」といったように、論理の裏付けや概念の境界を突く鋭い質問が飛んできます。
また、面接官はあえて解釈の余白がある問い方をすることが多く、その場でどう受け止め、どのように言葉を選んで伝えるかが問われます。準備してきた原稿をなぞるだけでは通用せず、自分の言葉で再構築する即興的な思考力が求められます。
最終段階となる二次面接とGDでは、さらに深い観点から受験者が評価されます。
【二次面接の特徴】
ここでもケース問題のような出題のされ方はしませんが、逆にそれゆえに、“言葉の説得力”や“問いに対する姿勢”の違いが明確に出るフェーズです。
【GD(グループディスカッション)の特徴】
一方的に話すタイプは逆に評価を落としがちで、“場の論点を引き出し、深め、まとめる役割”が最も評価される傾向にあります。
多くの外資戦略ファーム(例:マッキンゼー、BCG)や総合コンサル(例:アクセンチュア、デロイト)は、ケース面接を通じてロジック力や仮説思考を測るのが一般的です。しかしNRIは、あえてそうした「訓練された型」では見抜けない領域に踏み込む形式を取っています。
これらが面接やGDを通して見られており、“論理”より“意味”のやりとりを重視する選考姿勢が、NRIの大きな特徴といえるでしょう。
NRIの面接・GDは、いずれも自分の思考の仕方・言葉の選び方・対話の運び方がそのまま評価に直結する構造になっています。
他のファームのように、「型にはめればOK」という攻略法が通用しないぶん、普段から“なぜ自分はそう考えるのか”を言語化する習慣や、抽象的なテーマへの思考訓練が重要です。
単なる“回答力”ではなく、“対話する力”を問う選考であることを意識し、「考える」→「構造化する」→「伝える」の循環を意識した練習を重ねることが、通過への鍵となるでしょう。
NRIではWebテストの足切り水準が高く、また他ファームとの併願を見据えるならケース面接対策も欠かせません。限られた時間の中で効率よく実力を高めるには、良書の選定が極めて重要です。
下記記事では、実際に内定を獲得した学生が選んだ“本当に使える”対策本を10冊厳選して紹介しています。自分に合った一冊を見つけたい方はぜひ参考にしてみてください。
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野村総合研究所(NRI)の選考は、華やかな対外的ブランドとは裏腹に、本質的な思考力・自己理解・構造的対話能力を問う、奥深いプロセスです。他のコンサルティングファームとは異なる視点で選考が設計されているからこそ、表面的な対策では突破が難しいのが実情です。
これまでの内容を踏まえ、NRIを志望する学生が今すぐに取り組むべき3つのことを整理します。
① ES対策は「短文×構造」で“自分らしさ”を言語化せよ
たった200字の設問であっても、NRIはその中に「思考の質」「表現力」「自己分析の深さ」を見出します。形式的なテンプレに頼らず、自分の言葉で語る・構造的に伝える練習を、早めに始めましょう。
② Webテストは“処理能力”勝負。SPIでも侮るな
SPIは馴染み深い形式ですが、通過ラインは非常に高く、他社とは別次元の選抜機能を果たしています。本番形式に近い模試を繰り返し、時間配分や苦手分野の補強を徹底しましょう。対策は“量より質”です。
③ 「ケース対策」よりも「抽象思考と対話力」を鍛えるべし
NRIの面接では、他ファームのようなケース問題は出題されません。ESの内容をベースにした抽象的な問いへの応答力・自分の考えを言葉にする対話力が合否を左右します。友人や指導教員と深い問いで議論を重ねるなど、普段から「考える習慣」を持つことが最大の対策になります。