
ケース面接
2026/08/28
フェルミ推定とは?ケース面接で評価される解き方・例題・練習法
目次
フェルミ推定とは 限られた情報から筋のよい概算を出す思考法
正確な数字を当てる問題ではなく仮説と思考過程を示す問題
ケース面接でフェルミ推定が出題される場面
面接官がフェルミ推定で見ている評価ポイント
問いの確認と妥当な前提の置き方
構造化して重要な変数から考える力
計算結果を検証し結論まで伝える力
フェルミ推定を解く6つの手順
問題の範囲と求める数値を確認する
結論から逆算して計算式をつくる
前提を置き計算し妥当性を確かめる
分解の型を使い分ける
人口から積み上げるときの考え方
店舗数と客数から売上を推定するときの考え方
例題でわかるフェルミ推定の回答例
日本のコンビニの年間売上を推定する
面接官とのディスカッションで店舗数の前提を修正する
前提を変えて答えの幅を説明する
面接で思考を伝える話し方
最初に結論までの道筋を宣言する
計算が間に合わなくても当てずっぽうで答えない
面接官からの質問を受けて仮説を更新する
フェルミ推定の精度を上げる練習方法
頻出テーマを時間を測って解く
フィードバックで前提と分解を見直す
まとめ
正解の数字より再現できる思考の型を身につける
フェルミ推定に苦手意識があると、「正しい数字を知らないと解けないのでは」「常識外れの数字を言ったら終わりなのでは」と身構えてしまうかもしれません。しかし、ケース面接で問われるのは暗記量や実際の統計値を正確に当てる力ではありません。
重要なのは、面接官と前提をすり合わせ、対象を適切に分解し、限られた情報から根拠のある数字を置いて、妥当なオーダーの結論を出すことです。そのうえで、計算を素早く正確に行い、面接官とのディスカッションの中で前提や仮説を修正できることも求められます。
この記事では、フェルミ推定とは何か、実際の解き方、数字の置き方、回答の伝え方を例題とともに解説します。新卒就活でコンサルティングファームを目指す人はもちろん、転職でケース面接を受ける人にも役立つようにまとめました。
フェルミ推定とは 限られた情報から筋のよい概算を出す思考法
正確な数字を当てる問題ではなく仮説と思考過程を示す問題
フェルミ推定とは、すぐには分からない数量を、自分が説明できる要素まで分解し、限られた情報から妥当な仮定を置いて概算する方法です。たとえば「日本に電柱は何本あるか」「日本の学習塾市場はいくらか」と聞かれても、面接中に統計を検索することはできません。そこで、人口や世帯数、店舗数、利用率、利用頻度、単価などに分解し、それぞれに数字を置いて答えを組み立てます。
大切なのは、最終的な数値を偶然当てることではありません。BCGもケース面接について、アプローチの組み立て、的確な質問、データ分析、簡単な計算、重要な要因の見極め、明確なコミュニケーションなどを重視しており、必ずしも唯一の正解があるわけではないと説明しています。(BCG「ケース面接の準備」)
もちろん、実際には1,000億円規模の市場を10億円や100兆円と答えるように、オーダーが何桁もずれている場合は前提や計算を見直した方がよいでしょう。一方、実際には1,000億円だった市場を800億円や1,300億円と推定したとしても、それだけで悪い回答になるわけではありません。なぜその数字になったのか、どの前提が結果を大きく左右しているのか、さらに精緻化するとしたらどこを見るのかを説明できることの方が重要です。
また、思考過程とは式を作るところまでではありません。式の中に入れる数字を「なぜそう置いたのか」まで説明できることが重要です。
例えば「日本のコンビニは6万店舗くらいあります」と暗記した数字をそのまま置くより、「日本人口を約1.2億人とし、全国平均で人口2,000〜3,000人程度に1店舗あると考えれば4〜6万店舗程度」と推定できる方が、たとえ実際の店舗数と多少ずれていても議論を続けられます。
フェルミ推定では、答えだけでなく、前提・分解・数字の根拠・計算・検算まで含めて思考を見せることが重要です。
▼フェルミ推定に初めて触れるなら、内定者の思考を追って全体像をつかめます
ケース面接でフェルミ推定が出題される場面
フェルミ推定は、ケース面接そのものではありません。ケース面接では、ある企業や市場の課題を整理し、分析したうえで打ち手を考えます。その途中で市場規模や顧客数、店舗数、売上、必要人数などを短時間で置く必要がある場面に、フェルミ推定の考え方が使われます。
マッキンゼーも、実際のビジネス課題を模したケース例を公開しており、与えられた状況を整理しながら分析を進める形式を紹介しています。(マッキンゼー「面接準備」) アクセンチュアもケース面接では、質問の意図や不明点を確認し、前提や仮説、考察過程を伝えながら進めることを案内しています。(アクセンチュア「ケース面接の心得」)
したがって、フェルミ推定を単なる数字当てとして練習するのではなく、ケース面接の中で定量的に議論を進めるための基礎能力として身につけることが重要です。
面接官がフェルミ推定で見ている評価ポイント
問いの確認と妥当な前提の置き方
最初に重要なのは、問題を聞いた瞬間に計算を始めず、何を求めるのかを面接官とそろえることです。
例えば「日本のコンビニ市場規模を求めてください」と言われても、日本国内だけを対象とするのか、期間は1年間なのか、店舗の商品販売だけなのか、ATMや宅配便、チケット、公共料金収納などのサービスまで含めるのかによって、求める数字は変わります。
そこで、
「今回は日本国内のコンビニについて、1年間の店頭商品販売額を市場規模として推定するという理解でよろしいでしょうか」
と確認します。
前提確認には、面接官との認識を合わせるだけでなく、後の構造化をしやすくするために対象を絞る役割もあります。ToCとToBが混在しているなら分ける、収益源が多すぎるなら主要部分に絞るなど、この段階で「どうすれば求めやすいか」の当たりもつけておくと、その後の分解が楽になります。
BCGも、ケースの理解が曖昧なまま分析へ入らず、必要に応じて面接官へ質問することを案内しています。(BCG「面接プロセス&Tips」)
次に重要なのが、各変数へ数字を置く力です。日本人口約1.2億人や1年365日といった基礎数字は、そのまま使って構いません。一方、コンビニの1日客数、高校生の通塾率、カフェの利用頻度などの問題固有の数字を、根拠なく置くのは避けたいところです。
例えば「塾に通う高校生は何人か」を考える場合、「75万人くらいです」とだけ言うより、
「1学年を約100万人とします。大学進学を目指す層を50%程度と考え、その中で通塾率は高1で20%、高2で50%、高3で80%程度まで上がると仮定します。すると、100万人×50%×(20%+50%+80%)で約75万人です」
と説明できる方が、はるかにフェルミ推定らしい回答になります。
もちろん20%、50%、80%も正確な統計値ではありません。ただ、自分の周囲では高3になるほど塾へ通う人が増えていた一方、地方では学校だけで受験対策をする人もいるため、全国平均として高3を80%程度と置いた、と説明できれば一定の妥当性を持たせられます。
最初のアウトプットでここまで詳細に話す必要はありませんが、面接官から「なぜ80%なのですか」「もっと精緻化するとしたらどうしますか」と聞かれたときには説明できるようにしておきましょう。
数字を置くとは、数字を思いつくことではありません。知っている事実、生活実感、比較対象、物理的な制約などを使って、その数字が妥当そうだと説明することです。
▼面接で使える前提数字を増やしたい人は、頻出の基礎データを整理しておきましょう
人口や世帯数などの基礎数字を覚えることは有効ですが、「コンビニは○万店」「1店舗の来店客数は○人」といった問題固有の数字まで丸暗記する必要はありません。
構造化して重要な変数から考える力
2つ目と3つ目の評価ポイントは、問題を適切に分解する力と、どのアプローチから考えるかを選ぶ力です。
市場規模や売上のフェルミ推定では、多くの場合「客数×客単価」に近い形へ分解できます。難しいのは、その客数をどう作るかです。
大きく分けると、人口や世帯から利用者を絞り込む需要側のアプローチと、店舗や設備の処理能力から積み上げる供給側のアプローチがあります。
需要側では、「人口×対象者割合×利用率×利用頻度×単価」のように考えます。学習塾や映画、日用品など、誰がその商品・サービスを利用するのかをイメージしやすい問題に向いています。
一方、供給側では、「店舗数×1店舗あたり処理客数×単価」のように、店舗や設備がどれだけ顧客を処理できるかから考えます。小売、飲食、ホテル、病院など、物理的な供給能力があるビジネスで使いやすい考え方です。
どちらが正解というわけではありません。自分がより根拠を持って数字を置ける方を選ぶのが基本です。また、片方で推定した後に、もう片方を検算に使うこともできます。
練習では一つの解法だけを覚えるのではなく、「この問題は需要側でも供給側でも解けないか」を考える習慣をつけておくと、初見問題への対応力が上がります。
CaseMatchでは、ケース面接の回答を実際に声に出して進め、AI面接で回答の構造と改善点を確認できます。頭の中で式を作れても、面接で分解の意図を伝えられなければ評価にはつながりません。まずは短い問題で、式を宣言してから各要素を説明する順番を身につけましょう。
1分で完了
▼市場規模を分解する練習として、飲食業界の推定問題に取り組めます
計算結果を検証し結論まで伝える力
4つ目は計算の正確さ、5つ目は計算後の検証とディスカッションです。
フェルミ推定では高度な数学を使うことはほとんどありませんが、割合計算や掛け算、億・兆などの単位変換を短時間で正確に行う必要があります。数字だけでなく単位も一緒に書くと、桁ミスを減らせます。
そして、計算結果が出たら終わりではありません。市場規模であれば1人あたり、店舗売上であれば1日あたり、必要台数であれば1台あたりに戻すなど、別の単位へ変換して違和感がないか確認します。
結果が大きすぎる、または小さすぎると感じた場合は、主要な前提へ戻り、どの数字が結果を押し上げたり押し下げたりしているかを見直します。
このように、計算する→検算する→必要なら前提を修正するところまでがフェルミ推定です。
フェルミ推定を解く6つの手順

問題の範囲と求める数値を確認する
実際のフェルミ推定では、次の6つの流れを意識すると考えやすくなります。
①前提を確認する
②求める数字を式に分解する
③需要側・供給側などのアプローチを決める
④各変数に根拠を持って数字を置く
⑤計算する
⑥結果を検証し、必要に応じて修正する
最初に確認したいのは、対象・期間・含める範囲です。例えば「市場規模」であれば、国内か海外か、年間か月間か、商品売上だけかサービス売上も含むかなどを面接官とそろえます。
そのうえで、すぐ数字を置くのではなく、「どの式なら自分が説明できる変数まで分解できるか」を考えます。
▼初歩から手順を反復したい人は、例題と4ステップの解説を見比べてください
結論から逆算して計算式をつくる
求めたい数字を、観測・想像しやすい要素へ分解します。
市場規模なら、
利用者数 × 利用頻度 × 単価
店舗売上なら、
客数 × 客単価
必要台数なら、
総利用回数 ÷ 1台あたり処理回数
といった形です。
重要なのは、変数の数を減らすことではなく、各変数について「なぜその数字なのか」を説明できるところまで分解することです。直接置きにくい変数があれば、さらに一段分解します。
正しい式は一つではありません。自分がより妥当な数字を置けるアプローチを選びましょう。
▼分解方法の選び方をさらに深めたい人は、内定者のアプローチ比較を確認できます
前提を置き計算し妥当性を確かめる
式ができたら、各変数に数字を置きます。
このときは、
- 基礎統計として知っている数字
- 生活実感
- 類似するものとの比較
- 店舗や設備の物理的な制約
などを使い、できるだけ説明可能な前提を置きます。
最初から精緻な数字を作る必要はありません。面接時間内ではまず妥当なオーダーの数字を置き、面接官から質問された変数を必要に応じて深掘りします。
計算後は、別の単位や別アプローチから結果を検算し、違和感があれば前提を修正します。
分解の型を使い分ける

人口から積み上げるときの考え方
人口起点は、利用者や購入者をイメージしやすい問題に向いています。
基本形は、
人口 × 対象者割合 × 利用率 × 利用頻度 × 単価
です。
ただし、人口を細かく分ければよいわけではありません。重要なのは、結論に大きく影響する軸だけを切ることです。
例えば学習塾なら、性別よりも学年や進学意向の方が通塾率に影響しやすいでしょう。映画なら年代や居住地域によって利用頻度が変わるかもしれません。
どの属性で行動が変わるかを考えてから分けることがポイントです。
店舗数と客数から売上を推定するときの考え方
店舗ビジネスでは、
店舗数 × 客数 × 客単価 × 営業日数
という形が使いやすくなります。
客数は、コンビニならレジ、飲食店なら席数と回転率、ホテルなら客室数と稼働率など、その業態に存在する物理的な処理能力から考えると根拠を持たせやすくなります。
一方、全国に何店舗あるかを求める場合は、身近な地域の人口や人流と店舗数の関係から、店舗密度を推定する方法もあります。
例えば、新宿駅の乗降客数のような既知の統計値を起点に、乗降の重複や鉄道以外の流入を補正して商圏人口を推定する方法があります。
そこから「新宿駅周辺にはコンビニが何店舗程度あるか」を考えれば、人流に対してどの程度の店舗数が成立しているかのアンカーを作れます。
もちろん新宿は通勤・通学・買い物・乗換需要が集中する特殊な地域なので、その店舗密度を全国へそのまま当てはめることはできません。ただし、既知の統計値から未知の商圏人口や店舗密度を推論し、地域差を補正して広げるという考え方自体は有効です。
既知の数字 → 身近な地域の構造 → 全国へ補正して拡大する
という考え方も、一つの引き出しとして持っておきましょう。そのため、新宿駅でなくても何か身近な駅の乗降客数や人口などをインプットしておくのもいいかもしれません。
例題でわかるフェルミ推定の回答例
日本のコンビニの年間売上を推定する
では実際に例題を用いて考えてみましょう。ここでは「日本におけるコンビニの市場規模を求めてください」という問題を考えます。
通常のフェルミ推定では「全国のコンビニ店舗数」や「コンビニ1店舗の売上」だけが問われる場合もありますが、今回は練習として両方を推定します。
まず前提を確認します。市場規模なので今回は1年間の売上とし、日本国内のコンビニを対象とします。
コンビニには、食品や飲料、日用品の販売だけでなく、宅配便、チケット、公共料金収納、ATM、コピーなどさまざまなサービスがあります。ただ、すべてを対象にすると構造が複雑になるため、今回は店舗で販売されている食品・飲料・日用品などの商品販売額に限定します。
前提をそろえたら立式します。コンビニは店舗型ビジネスなので、今回は供給側から、
市場規模 = 全国店舗数 × 1店舗あたり1日客数 × 客単価 × 365日
と置きます。

需要側から「人口×コンビニ利用頻度×客単価」で求めることもできますが、利用頻度の置き方がやや難しいため、今回は最後の検算に回します。
まず、1店舗あたりの1日客数を考えます。
客数は立地や時間帯によって大きく異なります。駅前では朝や昼に混み、住宅地では夕方が多いかもしれません。また、実際に店舗にいたとしても実際に購買行動を行っているとも限りません。そのため、「1日800人くらい」と直接置いたり、身近なコンビニの店舗の人数を思い浮かべるよりも、ほぼすべての購入客が共通して通るレジから考えた方が根拠を持たせやすいでしょう。
1日客数 = レジ台数 × 1時間あたり処理人数 × 平均稼働率 × 24時間
とします。
平均的なコンビニにレジが2〜3台あるとして2.5台、1人の会計時間を約1分とすれば、1台あたり最大60人/時です。ただし24時間ずっとレジが埋まっているわけではないため、朝・昼・夕方のピークと深夜を均して平均稼働率を25%程度と置きます。
すると、
2.5 × 60 × 25% × 24 ≒ 900人
となるため、1店舗の1日客数を約900人と推定します。
次に客単価です。コンビニでは、飲み物やお菓子だけを買う場合もあれば、昼食や日用品などをまとめて買う場合もあります。平均すると1回あたり2〜3点の商品を購入し、1商品あたり250〜300円程度と考えれば、
2.5商品 × 300円 ≒ 750円
程度と置けます。
したがって、1店舗の1日売上は、
900人 × 750円 = 67万5,000円
で、約70万円と推定できます。
次に全国店舗数です。
ここでも「全国に5〜6万店ある」と暗記値をそのまま使うのではなく、先ほどの新宿駅の例をベンチマークに考えます。
新宿駅は世界一利用者数が多いターミナル駅として有名で、1日に約300万人もの乗降客数を誇ります。そこで、新宿駅の1日の乗降客数を約300万人と置き、乗車・降車の重複を除いて約150万人、さらに鉄道以外の来街者などを加えて商圏人口を約200万人としました。そのうち実際に駅周辺で行動する人を50%と考えると、約100万人です。
新宿駅周辺にコンビニが100店舗程度あるとすれば、
100万人 ÷ 100店舗
= 約1万人/店舗
となります。
まずはこの数字を使い、
1.2億人 ÷ 1万人
= 約1.2万店舗
と推定できます。
ただし、この時点で「全国のコンビニが1万店舗程度」という結果には少し違和感があります。そこで、ここから面接官とのディスカッションを通じて前提を見直していきます。
面接官とのディスカッションで店舗数の前提を修正する
例えばいったんの発表の後面接官から、
「1万人に1店舗という前提を全国にそのまま使ってよいでしょうか?」
と聞かれたとします。
ここでは、最初の仮説を守るのではなく、なぜ数字が大きくなったのかを考えます。
新宿駅はJR・私鉄・地下鉄など複数の路線が集中する巨大ターミナルです。仮に新宿駅周辺に10路線程度の商圏が重なっていると考えると、新宿の1万人/店舗という数字は、一般的な1駅・1地域の商圏を複数束ねた結果と考えられます。
そのため、
「新宿には10路線前後が乗り入れており、複数の商圏が重なっていると考えられます。そのため1万人/店舗を全国平均として使うのは過大で、一般的な1駅・1地域に直せば数分の1〜1/10程度まで小さくなると考えます。一方、地方では1店舗がより広い商圏を持つため、都市部より人数は大きくなります。これらを均した全国平均として、2,000〜3,000人/店舗程度と置き直します。」
と修正できます。すると、
1.2億人 ÷ 2,000〜3,000人
= 約4〜6万店舗
となるため、今回は中間を取り、全国に約5万店舗と置きます。
このように、フェルミ推定では最初から完璧な前提を置けなくても問題ありません。むしろ、
新宿をベンチマークに1万人/店舗と置く
→ 全国店舗数が1万店舗程度になり違和感を持つ
→ 新宿は複数路線の商圏が重なる特殊な地域だと気づく
→ 一般的な地域に補正する
→ 全国4〜6万店舗へ修正する
というように、面接官との対話を通じて前提を更新できることが重要です。
これで必要な変数がそろいました。
要素 | 推定値 | 根拠 |
|---|---|---|
全国店舗数 | 約5万店 | 人口と商圏人口 |
1日客数 | 約900人 | レジ処理能力 |
客単価 | 約750円 | 購入点数×商品単価 |
営業日数 | 365日 | 通年営業を想定 |
したがって、
5万店 × 900人 × 750円 × 365日
となります。1店舗1日売上は、
900 × 750 = 67.5万円
全国では、
67.5万円 × 5万店 = 337.5億円/日
年間では、
337.5億円 × 365日 ≒ 12.3兆円
となります。よって、
日本のコンビニ市場規模を年間約12兆円と推定します。
推定後は妥当性を確認します。12兆円を日本人口1.2億人で割ると、1人あたり年間約10万円、月あたり約8,000円です。コンビニを毎日使う人もいればほとんど使わない人もいることを考えれば、極端に不自然な数字ではなさそうです。
答え合わせとして、経済産業省の商業動態統計では、2024年のコンビニエンスストアの商品販売額売上高は12兆3,068億円、店舗数は5万5,988店でした。(経済産業省「商業動態統計 2024年12月」)
今回の推定値は実績値に比較的近くなりましたが、重要なのは12兆円を当てたことではありません。店舗数を商圏人口から、客数をレジの処理能力から、客単価を購入点数から推定し、それぞれの数字について理由を説明できる構造を作ったことがポイントです。このように説明可能な構造に分解することで、この後に売上向上のケース面接をする際も、どのレバーを上げればよいのか、そのレバーを動かすにはどのような施策が考えられるのか、といった議論につなげられます。
すなわち、フェルミ推定とは、単に未知の数字を概算するためのテクニックではなく、その後の議論を進めるための共通の土台を作る作業でもあります。どの要素が結果を決めているのかを構造化し、それぞれの前提を明確にすることで、面接官と「どこを深掘りするか」「どの変数を変えるべきか」を具体的に議論できるようになります。
仮に8兆円や15兆円になっていたとしても、オーダーが大きく外れておらず、どの前提が結果を左右しているのか説明できれば、その後の議論を続けられます。
▼過去問に近い難度で、例題の分解と話し方を確認したい人はこちらです
前提を変えて答えの幅を説明する
フェルミ推定では、不確実性の高い数字を一点で決め切る必要はありません。
例えば今回のコンビニ客数について、平均稼働率を20〜30%と考えれば、
約720〜1,080人/日
程度の幅になります。
その場合、市場規模もおよそ10兆円前後から15兆円弱まで動きます。
ただし、すべての変数にレンジをつけると議論が複雑になるため、結果への影響が大きく、かつ不確実性の高い変数だけを動かすのがポイントです。
「最も不確実なのは1店舗あたり客数なので、ここを±20%程度動かすと市場規模はこの程度変わります」と説明できれば、自分の推定の弱い部分も把握できています。
面接で思考を伝える話し方
最初に結論までの道筋を宣言する
フェルミ推定では、頭の中で正しく考えられていても、説明の順番が悪いと面接官には伝わりません。
基本的には、
結論 → 式 → 主要な前提 → 根拠
の順で話します。
例えば、
「結論として約○○と推定しました。A×B×Cで算出しています。Aは○○、Bは○○と置きました」
と最初に全体像を伝え、その後、面接官から聞かれた前提の根拠を説明します。最初からすべての数字の根拠を長く話す必要はありません。面接官がどこを深掘りすればよいか分かる状態を作ることが重要です。
CaseMatchのAI面接では、時間を意識して回答し、結論が後ろ倒しになっていないか、前提の説明が抜けていないかをフィードバックで確認できます。一人でノートに解くだけでは、説明が長いのか短いのかは分かりにくいものです。例題を1問選び、式を宣言するところから声に出して試してください。
1分で完了
▼市場規模推定を実際の面接形式で練習したい人は、こちらの問題から始められます
計算が間に合わなくても当てずっぽうで答えない
ケース面接では、考える時間が終了した時点で最後の計算まで終わっていないこともあります。
その場合、焦って根拠のない最終数値を言う必要はありません。
例えば、
「現時点で分解と各変数の仮定まではできていますが、最後の計算が終わっていません。先に構造と数字の置き方をご説明しながら計算してもよろしいでしょうか」
と伝える方法があります。
もちろん、時間内に計算まで終えるのが理想です。ただ、当てずっぽうの数字を出して全体の整合性を崩すより、どこまで考えられているかを明確にした方が、その後の議論を続けやすくなります。
面接官からの質問を受けて仮説を更新する
フェルミ推定は、最初の回答を発表して終わりではありません。
面接官から「その数字の根拠は?」「別の切り口ではどう考えますか?」「都市部と地方で差がありませんか?」などと聞かれることがあります。
このとき、最初に置いた前提を無理に守る必要はありません。質問によって新しい論点に気づいたのであれば、
「ご指摘の通りです。その要素を考慮すると、この前提を○○から△△へ修正します」
と更新します。
ケース面接では、最初から完璧な仮説を置くことよりも、追加情報や指摘を受けて、どの変数をどう修正すればよいか理解していることが重要です。
フェルミ推定の精度を上げる練習方法

頻出テーマを時間を測って解く
フェルミ推定は、解答例を読むだけでは上達しません。市場規模、店舗売上、保有台数、必要人数などの頻出テーマを、実際に時間を測って繰り返し解く必要があります。
練習するときは、答えを出すだけでなく、同じ問題を別のアプローチでも解けないかを考えてみてください。
例えばコンビニ市場なら、
供給側:店舗数 × 店舗客数 × 客単価
だけでなく、
需要側:人口 × 1人あたり利用頻度 × 客単価
でも推定できます。
本番ではどちらか一方しか使わなくても、複数の解法を考える習慣があると、自分が数字を置きやすいアプローチを選べるほか、最後の検算や面接官とのディスカッションにも使えます。
練習ノートには、問題、前提、立式、各変数の数字、その数字を置いた理由、最終結果、別アプローチ、改善点まで残しておくとよいでしょう。
反省も「店舗数を知らなかった」で終わらせるのではなく、
「店舗数を根拠なく置いてしまった」
「レジから客数を推定できた」
「人口起点の方が前提を置きやすかった」
といった形で残す方が、次の問題に応用できます。
練習の目的は、問題ごとの正解数字を覚えることではありません。初見の問いでも、自分が知っている情報から数字を作れる状態にすることです。
難関企業の選考を想定するなら、問題を解いた後に必ず口頭で説明する工程を入れてください。CaseMatchでは過去問ベースのケース面接に取り組めるため、本番に近い問いで構造化、計算、対話を一続きで練習できます。
1分で完了
フィードバックで前提と分解を見直す
解き終わったら、実際の数字に近かったかだけで自己採点しないでください。
「対象範囲は適切だったか」「分解に漏れや重複はなかったか」「各数字の根拠を説明できるか」「もっと置きやすいアプローチはなかったか」「別の立式で検算できるか」を確認します。
特に重要なのは、各変数について、
「なぜこの数字なのか?」
と自分に問い直すことです。
答えが「なんとなく」「解答例で見たから」「覚えていたから」だけなら、もう一段分解できないか考えてみましょう。
CaseMatchでは、他のユーザーの回答や高評価の解答例も確認できます。同じ問題でも、人口から積み上げる人と店舗から積み上げる人では、式も数字の置き方も異なります。
比較するときは、「どちらが実績値に近かったか」だけではなく、どちらの方が数字の根拠を説明しやすいか、どちらの方が面接官との議論を広げやすいかにも注目してください。
フィードバックを受けたら、すぐ別の問題へ進むのではなく、同じ問題を一度だけ解き直すことも有効です。指摘された前提や分解を修正した状態で説明できるか確認すると、改善点が定着しやすくなります。
まとめ
正解の数字より再現できる思考の型を身につける
フェルミ推定で重要なのは、実際の統計値を正確に当てることではありません。
前提を面接官とすり合わせ、対象を適切に分解し、需要側・供給側などのアプローチを選び、限られた情報から根拠を持って数字を置きます。そのうえで素早く計算し、別の視点から結果を検証し、面接官とのディスカッションに応じて前提を修正していきます。
人口や世帯数、新宿駅の乗降客数のように、基礎的な統計値をアンカーとして知っておくことは有効です。一方で、問題固有の店舗数や客数、利用率まで丸暗記することがフェルミ推定対策ではありません。
「その数字を知っているか」ではなく、
知っている数字や生活実感から、知らない数字をどう作るか
を考えられるようになることが重要です。
まずは例題を解くたびに、「なぜこの式なのか」「なぜこの数字なのか」「他の方法ではどう求められるか」を説明する習慣をつけてください。分解できる、数字を作れる、計算できる、検証できる、修正できるという一連の流れを再現できるようになれば、初見のフェルミ推定にも対応しやすくなります。
著者
畑中 翼
Senior Managerフジクラで研究開発・新規事業開発に従事した後、アクセンチュア、デロイト、イグニション・ポイント、ADLでコンサルティングを経験。現在はSenior Managerとして転職支援を担当。製造業・R&D領域に強みを持ち、QUNIE Award 2024優秀個人賞、外資就活ネクストAランクの実績を持つ。
監修者
山岡 直登
Director銀行法人営業、JAC Recruitment、パーソルキャリアでのRPO・企業人事を経て、フォルトナにてコンサル転職支援に従事。現在はCaseMatchのDirectorとして人材紹介を担当。ビズリーチSランク、新興系コンサルティングファーム年間Award 2025の実績を持つ。
面接練習で、選考を有利に進めよう。
1分で完了








